予報開始時刻:
? 30分予報を開始する解析値(初期値)の時刻を選択します。
実際のリアルタイム予報では30秒ごとに新しい解析値からの予報が更新されましたが、このページでは期間中の代表的な3時刻からの予報をを表示します。
? 予測(30秒間隔):
解析値のアンサンブル平均を初期値としたSCALEモデルによる30分予報
確率予測(30秒間隔):
解析値の10メンバーをそれぞれ初期値としたSCALEモデルによる30分予報に基づく、30mm/h相当より強い雨の発生確率
観測(30秒間隔):
埼玉マルチパラメータフェーズドアレイ気象レーダによる降水強度の観測値
解析(30秒間隔):
観測値とモデルの予報値を用いたデータ同化による推定値
(※以上は2km高度の反射強度(等価レーダー反射因子)を
近似式に基づき降水量に変換)
気象庁レーダー(5分間隔):
気象庁のレーダーによる反射強度に基づく降水量の全国合成図を用いた描画
アニメーション
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図の見方

14時~16時の観測値・解析値と、14時30分・15時・15時30分それぞれの解析値を初期値とした30分後までの予報値を表示します。
データは限られた緯度・経度の領域においてのみ表示し、その外側は薄い色で影をつけて区別しています。

観測値

マルチパラメータ・フェーズドアレイ気象レーダで観測された反射強度を雨の強さに変換した値を表示します。網掛け部分は建物等の陰のため高度2kmの観測データが得られない領域です。 地図上には高度2㎞付近の雨の強さを、弱い雨は寒色系、強い雨は暖色系の色を用いて示しています。

解析値

データ同化により観測値を取り込んだ数値予報モデルの中での、観測時刻における雨の強さを表示します。モデルを用いることで、直接観測されない領域も値を推定することができます。 観測値と同様に、高度2㎞付近の雨の強さを色で示します。

予報値(降水予測)

解析値を初期状態として数値予報モデルによって計算した未来の時刻の雨の強さを表示します。 観測値と同様に、高度2㎞付近の雨の強さを色で示します。

予報値(確率予測)

解析値から得られる複数の初期状態を用いた数値予報モデルによるアンサンブル予報に基づき、未来の雨の確率の広がりを表示します。 地図上には計算された雨の強さをもとに、高度2㎞付近の雨の強さが「激しい雨」に相当する30mm/h以上となる確率を表示します。 30%以上で黄色、70%以上で赤、90%以上で紫色のように確率に応じて異なる色を用いています。
※気象庁の降水確率とは定義が異なる点にご注意ください。

気象庁レーダー

気象庁のレーダーにより観測されたエコー強度の全国合成図に基づく5分間隔の降水量の分布です。
※本研究で使用した気象庁データは気象庁と(社)日本気象学会の研究協力の枠組みである「気象研究コンソーシアム」を通じて提供されました。

予測手法の解説

予測手法の詳細については、下記をご覧ください。

「富岳」を使ったゲリラ豪雨予報 -首都圏で30秒ごとに更新するリアルタイム実証実験を開始-(理化学研究所ウェブサイト)

2021年7月30日 午後2時~4時の事例

2021年7月30日は大気の状態が非常に不安定であり、一日を通して全国各地で激しい雷雨がみられました。
午後2時すぎに足立区付近で発生した雷雨は、発達しながらゆっくり移動し、都心部に一時的に激しい雨をもたらしました。

下図は午後3時30分の都心部の降水分布の、(左)MP-PAWRによる観測、(中)観測を用いたSCALE-LETKFによる解析、および(右)気象庁レーダによる観測(全国合成図)を示しています。
5分間隔、解像度1kmの気象庁レーダであっても、このように急速に発達する局所的な現象においては、個々の積乱雲の細かい分布まで捉えることは困難です。一方、左図のように30秒間隔のMP-PAWRでは、より解像度が高く、瞬間的な状態に近い降水分布を捉えることができます。その観測データを同化したSCALE-LETKFの解析値(中図)も、観測された細かい構造をよく再現しています。


下図は同じ午後3時30分の都心部の降水分布の(左)MP-PAWRによる観測(再掲)、(中)15:00初期値からの30分予報、および(右)30分予報における30mm/h以上の降水の発生確率を示しています。
30分予報では、実際の降水分布の北東側の部分については似たような分布が予報されていました。一方、新宿~渋谷周辺に相当する南西側の強い降水は再現されていませんでした。確率予報(右)を見ても、激しい雨の発生確率の30%以上の領域は北東側には分布していますが、南西側については雨の可能性は低いとの予報でした。この南西側の領域は30分の間に新たに発生した積乱雲による降水であると考えられます。
このような現象に対しても数値予報モデルを使ってより正確な予報を可能にしていくことが今後の課題です。


注意事項

参考文献

  1. Amemiya, A., T. Honda and T. Miyoshi, 2020: Improving the Observation Operator for the Phased Array Weather Radar in the SCALE-LETKF system, SOLA, 16, 6-11. doi:10.2151/sola.2020-002
  2. Maejima, Y., M. Kunii and T. Miyoshi, 2017: 30-second-Update 100-m-Mesh Data Assimilation Experiments: A Sudden Local Rain Case in Kobe on 11 September 2014, SOLA, 13, 174-180. doi:10.2151/sola.2017-032
  3. Lien, G.-Y., T. Miyoshi, S. Nishizawa, R. Yoshida, H. Yashiro, S. A. Adachi, T. Yamaura, and H. Tomita, 2017: The near-real-time SCALE-LETKF system: A case of the September 2015 Kanto-Tohoku heavy rainfall. SOLA, 13, 1–6. doi:10.2151/sola.2017-001
  4. Miyoshi, T., G.-Y. Lien, S. Satoh, T. Ushio, K. Bessho, H. Tomita, S. Nishizawa, R. Yoshida, S.A. Adachi, J. Liao, B. Gerofi, Y. Ishikawa, M. Kunii, J. J. Ruiz, Y. Maejima, S. Otsuka, M. Otsuka, K. Okamoto, and H. Seko, 2016: "Big Data Assimilation" Toward Post-Petascale Severe Weather Prediction: An Overview and Progress. Proceedings of the IEEE, vol. 104, no. 11, pp. 2155-2179. doi: 10.1109/JPROC.2016.2602560
  5. Miyoshi, T., M. Kunii, J. J. Ruiz, G.-Y. Lien, S. Satoh, T. Ushio, K. Bessho, H. Seko, H. Tomita, and Y. Ishikawa, 2016: "Big Data Assimilation" Revolutionizing Severe Weather Prediction. Bull. Amer. Meteor. Soc., 97, 1347–1354. doi: 10.1175/BAMS-D-15-00144.1

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計算科学研究センター
データ同化研究チーム